糖尿病性腎症

糖尿病性腎症

腎臓は、老廃物を外へ排出するために尿を作る重要な働きを行っている臓器です。なお、糖尿病によって、腎臓に悪影響を与えてしまうことがあります。悪い影響を腎臓に与えてしまうと、腎臓機能が弱くなるので尿が作れない状態になることもあります。

尿が作れないと体に老廃物がたまってしまうので、人工透析の治療を行う必要があります。人工透析治療は人工的に尿を排出する治療で、週3回ほど病院で数時間かけて尿を抜き取ります。週に3回も病院で数時間過ごしながら治療を受けることになると、仕事や日常の生活に影響が出てしまうことが考えられます。とはいえ、腎臓機能が働かなくなれば、人工透析をしなければ体に大きな負担を与えてしまうことになるので治療は不可欠であるといえます。
「糖尿病性腎症」は、糖尿病の合併症の中でも特に恐れられている病気です。糖尿病の疑いがある、もしくは既に発症しているのであればなおさら、「どんな病気か」「どれだけ危険なのか」知っておくことが大切です。そこで今回は、糖尿病性腎症についてご紹介します。

糖尿病性腎症の危険と症状

糖尿病性腎症は、高血糖の状態が続くことで腎臓機能が十分に働かなくなる糖尿病の合併症のひとつです。症状が進行すると腎不全に陥ってしまい、最悪の場合だと命を落とすこともある危険な病気です。

腎臓の役割は、老廃物をろ過することです。この役割には、血液が大きく関係しています。体内に流れている血液は、さまざまな細胞に栄養と酸素を運ぶ役割があります。そして、栄養と酸素を運んだ後の血液は、細胞から老廃物を受け取ります。受け取った老廃物を血液が腎臓まで運び、腎臓内でろ過されてきれいな血液へと変わって再度体内に送り込まれます。そして、腎臓に届いた老廃物は、尿となって体の外へ排出されます。これが、健康的な人の体内で行っている腎臓の働きです。

腎臓のろ過する働きが弱くなっていると、血液によって運ばれてきた老廃物がろ過されず、体内に残ってしまいます。老廃物が体内に残ってしまえば、水分や電解質、血圧の調整が上手くできなくなります。そうなると、心臓や脳にも影響を与えてしまい、最悪の場合だと意識が無くなって昏睡状態になることもあります。他にも、体にむくみや高血圧、尿が出なくなった、血尿、タンパク尿などが出てきたら既に症状が相当進行している状態なので注意が必要です。
なお、腎症の初期段階では自覚症状がほとんどありません。そのため、定期的に検査を受けて腎臓の変化を確認することが大切です。

腎臓機能が低下する原因

腎臓では、糸球体と尿細管がろ過の役割を果たしています。糸球体は、細かい血管がまとまった球体のような形状です。ここに、老廃物を運んできた血液が送り込まれます。そして、糸球体と尿細管がつながる部分で必要な成分と不要な成分が分けられます。
それぞれ分けた後、老廃物が取り除かれてきれいになった血液が再度、腎臓から外へ出されます。腎臓から出された血液は、また体内を巡って栄養と酸素を運ぶという働きをします。
腎臓に残った老廃物は、尿の元となる原尿になります。原尿は、1日あたり150リットル分もろ過されます。ろ過される際には、尿細管で塩分などの電解質やタンパクの再吸収の促進や水分量の調整などが行われます。原尿の約99%は体内に再吸収されて、最終的に約1.5リットルの尿が排出されます。

糸球体と尿細管は、ふたつ合わせてネフロンと呼ばれており、腎臓内に約100万個あります。
健康的なネフロンでは、ザルと同じ原理で網目によって必要な成分と不要な成分をこし分けます。必要な成分がザルの中に残り、不要な成分が網目から落ちていくというイメージです。腎臓機能が低下していると、ネフロンの網目が大きくなります。そうなると、必要な成分まで下に落ちてしまうことになります。

例えば、健康診断などで尿検査があり、「タンパクが検出された」といわれたとします。これは、ネフロンが弱くなりネフロンの網目が大きくなったことが原因で検出されたと考えられます。正常なろ過がされていないと、体に必要なタンパクが尿に混ざって外へ出てしまうのです。
では、どうしてネフロンが弱くなり、正常にろ過されなくなってしまうのでしょうか。これには、高血糖の状態が続いたことでネフロン内の血管が固くなることが関係しています。血管が固くなることで、動脈硬化を起こしたり、血栓ができたり、糖分が多いドロドロな血液により血管が傷ついたります。そのため、悪い状態の血管が集まったネフロンは、本来の役割を行うことができずに不要な成分だけでなく、大きな粒子の必要な成分も尿として流してしまうのです。また、必要な成分も尿に混ざって外へ出される状態が続けば、最終的にネフロン自体が機能しなくなり、腎臓で尿を作ることができなくなります。

腎臓で尿を作れなくなると、老廃物や水分が体内に蓄積されたことにより、むくみや血尿、高血圧などの症状が起こります。これは腎不全の症状になるので、早急に病院で治療を受けなければなりません。
病院で受ける治療は、人工透析治療です。人工透析治療では、人工的に尿を外へ排出できるようにします。人工透析治療を受ける段階では、既に尿が作れない状態の腎臓になっている場合になります。これに対して、腎臓の状態がそこまで悪くなっていない場合には、機能しなくなった部分のみを切除する方法の治療が採用されます。
尿からタンパクが検出されていたり、むくみや高血圧などの自覚症状があったりしても病院へ行かず放置していると、切除することができないほど悪化します。そうなれば、人工透析治療のみの選択肢になるので、病院に通って人工透析治療を行うことになります。人工透析治療は、身体的にも精神的にも負担が大きい治療です。一生、人工透析治療と付き合わないようにするためにも、体内に老廃物を残さないようにサラサラな血液を維持できる生活を送ることが大切です。

糖尿病と血液の流れとの関係について

糖尿病性腎症を予防する方法

これまで述べてきたように、腎臓の状態が悪くなると体にとって大きな負担がかかります。なお、腎臓疾患は糖尿病と同じで、初期段階の自覚症状がほとんどないとされています。

では、どのようにして初期段階の症状を見分けるのでしょうか。
それは、「タンパク尿」です。タンパクが尿に混ざることは、健康的な体であればみられないことです。
タンパクが混ざっているという検査結果が出た場合、ネフロンのろ過機能が低下していることを現しています。タンパクが混ざった尿であれば血糖値も高くなっています。
タンパク尿である、血糖値が高いと検査結果出たときは要注意です。

尿に混ざったタンパクの量は、検査を行ったときによって多かったり少なかったりします。タンパク尿であるとの結果が出た時点で治療を受ければ、早期治療として腎不全や糖尿病性腎症のリスクを下げることができます。これに対して、治療を受けずに放置し、症状が現れてからの治療にとりかかった場合は、常にタンパクが検出されるようになります。この場合、既に腎臓のネフロンの30%~50%が悪い影響を受けていると考えられます。
ですので、微量であってもタンパクが尿から検出されたと結果が出たのであれば、早急に治療を受けることが大切です。
また、糖尿病かもしれないと診断されたときも、合併症を引き起こす可能性があるので生活習慣を見直し、食事制限や運動を行うようにすることが大切です。

血液の流れが関係している糖尿病性腎症

糖尿病性腎症は、血液の流れと大きく関係しています。高血糖状態が続いているときは、腎臓の血管はもちろん他の細小血管に大きな被害を与えていることになります。高血糖状態の血液は、糖分が混ざってドロドロな状態なのでさまざまな疾患を引き起こす原因になります。特に糖尿病性腎症が起こってしまうと、尿を排出することができなくなり、一生涯を通じて人工透析の治療を受けなければならなくなります。

近年、普段の生活習慣や運動不足によって腎臓機能が低下している方が増えてきています。同時に、人工透析治療を受ける方も増加しています。人工透析治療は、身体的にも精神的にも負担が大きい治療です。治療を受ける必要を低くするためにも、腎臓の状態をよくすることを心掛けようにしましょう。
なお、糖尿病の疑いがあったり、既に発症していたりするのであれば糖尿病性腎症などの合併症を引き起こさないようにすることが大切です。

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