糖尿とメタボの危険な関係とは?

糖尿とメタボの危険な関係とは?

糖尿病といえば、「太った人がなる病気」というイメージが持たれがちです。確かに、太っている方と太っていない方を比較すると、糖尿病が発症している確率は太っている方のほうが高くなります。また、東京大学の門脇孝教授によると「メタボリック症候群の人はそうでない人に比べると、糖尿病になる確率が約5倍まで跳ね上がる」といわれています。
近年、メタボリック症候群と同時に糖尿病を発症する方も増えています。以前から、糖尿病と肥満が関係していると指摘されていました。とはいえ、具体的にどれほどメタボリック症候群と糖尿病が関係しているのか知らない方もいます。
そこで今回は、「糖尿病とメタボリック症候群の関係性」についてご紹介します。

メタボリック症候群になる原因とは?

メタボリック症候群と脂肪肝は、深い関係があります。メタボリック症候群は、内臓脂肪が蓄積されて起こります。内臓脂肪の蓄積が起こる原因は、脂質と糖質を多く摂取して運動量が不足している方が多いので、脂質と糖質の摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが上手く保てない状態となり、中性脂肪のコントロールができなくなるからです。
脂肪肝は、脂肪酸やブドウ糖が中性脂肪として肝臓に蓄積して太りやすくなることです。本来なら、脂肪酸とブドウ糖は、体を動かすエネルギーとして筋肉や臓器に行きわたって健康的な体を維持できます。しかし、脂質と糖質の摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れ、脂肪酸とブドウ糖を使うことができなくなると肝臓に中性脂肪として蓄積されます。
内臓脂肪も中性脂肪も蓄積される状態になるのでメタボリック症候群と脂肪肝は、大きなつながりがあることが分かります。
また、脂肪肝は、女性よりも男性のほうが起こりやすい傾向があります。そのため、太っている男性の方がメタボリック症候群になりやすく、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高いといわれています。

糖尿病患者に多いメタボリック症候群

メタボリック症候群の方は、「高BMI」「高中性脂肪」「低HDL」「高血圧」「高血糖」と検査結果が出ると、糖尿病の確率が通常の体型の方に比べて約130倍にもなるといわれています。糖尿病の治療を受けている方の約34%はメタボリック症候群で、3人に1人の割合だとの報告があります。
「最近太ってきたな」とか「お腹が出てきた」とか感じ始めたら、内臓脂肪や中性脂肪が体内にたまってメタボリック症候群になっているかもしれません。糖尿病になる確率も同時に高くなっているので、最近太りだした方は要注意です。

どうしてメタボリック症候群が糖尿病を引き起こす?

メタボリック症候群で糖尿病が起こる原因には、インスリンも大きく関係しています。インスリンとは、体内で血糖値を下げるホルモンで、ブドウ糖を上手くコントロールし、正常な血糖状態を保てるように働きかけるのが正常です。
インスリンの働きが悪いと、メタボリック症候群が起こり糖尿病へつながります。糖尿病には、インスリンが大きく関係しています。発症する原因が「インスリン抵抗性が急に高くなる」か「インスリンの分泌量が少なくなる」のどちらかの要因、または両方の要因だからです。どちらもメタボリック症候群が関係してくるので、以下にまとめました。

・インスリン抵抗性が急に高くなる
内臓脂肪などが体内にたまって起こるメタボリック症候群は、全身のインスリン抵抗性が高くなります。インスリン抵抗性は、内臓脂肪などがたまることで脂肪組織から遊離脂肪酸が出てしまい、インスリンの働きを鈍らせます。インスリンの働きが悪くなると、「インスリンが働かない=血糖値が下がらない」という状況が起こります。
インスリン抵抗性が高い状態は、肝臓から糖が盛んに放出されている状況を作り出します。糖が盛んに肝臓から放出されると筋肉へ送る糖が少なくなり、高血糖状態が続きます。さらに、内臓の脂肪組織から細胞を壊死させる腫瘍壊死因子の「TNF-α」や内臓脂肪で作られる「レジスチン」が放出されて、さらにインスリンが働けない状態を作り出します。
これまでの内容をまとめると「メタボリック症候群になる(インスリンの働きが悪くなる)」→「高血糖状態になる」→「糖尿病が発症する」の経過によって糖尿病が発症します。

・インスリンの分泌量が少なくなる
メタボリック症候群によってインスリン抵抗性が高い状態が続くと、インスリンの働きを上手くコントロールできなくなり多量のインスリンを分泌する「高インスリン血症」を引き起こすことがあります。
「インスリンが大量に分泌されたからいい傾向なのでは?」と思うかもしれません。しかし、過剰にインスリンが分泌されている状態は、すい臓に負荷がかかります。インスリンは、すい臓の働きによって生成と分泌を行っているので、過剰に生成と分泌を繰り返すとすい臓が疲れます。すい臓が疲れてしまうとインスリンの分泌量も次第に少なくなっていき、糖尿病を引き起こす原因を作り出します。
これまでの内容をまとめると「メタボリック症候群になる(インスリンの過剰な分泌が起こる)」→「すい臓の働きが低下し、インスリンの分泌量が少なくなる」→「糖尿病が発症する」の経過によって糖尿病が発症します。

以上の内容によって、糖尿病を引き起こす主な原因とされている「インスリン抵抗性が急に高くなる」または「インスリンの分泌量が少なくなる」のどちらもメタボリック症候群によって起こることが分かりました。
そのため、糖尿病を引き起こさないためにはメタボリック症候群にならないように対策する必要があります。

メタボリック症候群を防ぐホルモン「アディポネクチン」

これまでメタボリック症候群と糖尿病の関係性をご紹介しました。以下では、メタボリック症候群を防ぐホルモンについてご紹介します。
メタボリック症候群を防ぐホルモンは、「アディポネクチン」です。このホルモンは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質(サイトカイン)に含まれており、血糖や中性脂肪を下げる働きがあります。標準体型の方は、アディポネクチンの働きによって血糖や中性脂肪の量をコントロールできます。しかし、内臓脂肪などが蓄積されていくとアディポネクチンは減少します。そのため、アディポネクチンが減少することは、メタボリック症候群を引き起こす要因として考えられています。
また、アディポネクチンが減少するとインスリン感受性も低下します。これは、東京大学の門脇教授の研究チームが発見されました。門脇教授の研究チームは、実験用のマウスの肝臓細胞の表面に2種類のタンパク質を発見し、アディポネクチンと結合すると血糖と中性脂肪が下がることが分かりました。さらに脂肪燃焼の働きも上昇することが確認されています。
内臓脂肪が多く肥満体のマウスには、肝臓細胞の表面のタンパク質の減少が起こっているのか分かりました。そのため、肝臓細胞にタンパク質を増やし、アディポネクチンと結合できるようにすると血糖値が正常値まで改善されたことが分かりました。
この結果は、今後の糖尿病に関する治療薬の開発につながると国内外で注目されています。まだ先の話ですが、糖尿病で悩んでいる方にとってうれしい効果がある新薬の開発につながるかもしれません。

しかし、現時点では生活習慣を見直し、アディポネクチンの増加を期待することが効果的な方法です。アディポネクチンは、日常生活に適度な運動を取り入れることで増やせます。激しい運動ではなく日常生活に取り入れやすい運動を数カ月続けるだけで、メタボリック症候群や糖尿病の予防改善の効果を期待できます。

簡単にメタボリック症候群を対策する方法

メタボリック症候群を引き起こさないためには、日常にちょっとした工夫を取り入れるだけで十分に対策できます。簡単な対策方法があるので、いくつかご紹介します。

1.手の空いた時間に軽くスクワットする
体内に蓄積した脂肪を燃焼させるには、30分以上の有酸素運動を毎日行うことが1番効果的です。けれども、毎日30分以上の有酸素運動を行う時間を作ることは困難です。
そこでおすすめしたいのは、1日に何回かに分けて合計で30分に運動することです。何回か分けて合計30分運動することと30分まとめて運動することは、同じ効果を期待できることが分かっています。
何回かに分けて行う運動でおすすめなのは「スクワット」です。スクワットは、筋力の低下が起こりやすい足腰を鍛えることができます。足腰を鍛えれば、筋力を上げることができて体の代謝がよくなり、脂肪燃焼を期待できます。
スクワットの効果を上げるポイントは、呼吸を止めずにゆっくりと行うことと、背筋を伸ばして正しい姿勢を保ちながら行うことです。この2つのポイントを押さえて続けるようにしましょう。始めた頃は無理せずに1日15回程度のスクワットを2セット続けることを目標にしてください。そして、体が慣れてきたら少しずつ回数を増やしていくと長く続けられます。

2.水を意識して飲むようにする
水を多く飲むことは、内臓脂肪の蓄積の予防対策に効果的です。水分は、過剰に摂取した塩分やタンパク質、老廃物を体から排出できるように促す効果を期待できます。1日に飲む水の推奨されている量は、2リットルです。1日に飲む水の2リットルの内訳は、朝起きてからすぐに500ml、昼ごはんを食べる一時間前に500ml、晩ごはんを食べる一時間前に500ml、そして残りの500mlはこまめにとるようにし、1日の合計で2リットルの水を飲めるようにするのが理想的な飲み方です。
飲み方は、一度に大量の水を飲むことを避け、少しずつ飲むようにしましょう。また、室温に近い温度の水を飲むことも大切です。ただし、水分だからといってコーヒーやお茶を飲むことは避けましょう。コーヒーやお茶は、カフェインが含まれており、メタボリック症候群を悪化させてしまう作用があるからです。
あまり水分補給しない方からすると1日に2リットルもの水を飲むことは苦痛に感じるかもしれません。特に男性は女性よりも水分をとらない傾向があります。しかし、毎日2リットルを目標に意識して飲むようにすれば、体は慣れていき習慣となっていきます。

3.体の代謝をサポートするサプリを飲む
体の代謝を上昇させるには、糖代謝や脂質代謝に欠かせない亜鉛やクロム、マグネシウム、ビタミンB群の摂取が必要です。これらの栄養成分は、サプリだと簡単に摂取できます。体の代謝をサポートするサプリを飲む習慣をつけ、脂肪燃焼しやすい体質へ変化させていきましょう。

以上、メタボリック症候群の対策方法についてご紹介しました。
メタボリック症候群は、内臓脂肪などが蓄積したことが原因で起こるので、日頃から脂肪を蓄積されないように意識して生活することが大切です。日常生活を少し工夫するだけでメタボリック症候群を予防できるので、コツコツと毎日続けていけば体が変化していきます。体の変化を実感できるようになれば、糖尿病などの生活習慣病を引き起こす可能性が低くなり、大きな病気につながることを防げます。

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