低血糖を理解しよう!

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血糖値を下げる働きをするホルモン、インスリンの作用不足が原因で発症する糖尿病は、高血糖状態のことを指します。糖を摂り過ぎることで、糖尿病が発症するリスクはグンと上がります。では、糖が少ない状態である「低血糖」は、体にどのような影響を与えるのでしょうか。今回は、低血糖が起こる原因や症状、対処法などを詳しくご紹介します。

低血糖とは

食物から摂取する糖(ブドウ糖)は、生きるために欠かせないエネルギー源です。しかしなんらかの原因で体内のブドウ糖が標準よりも少なくなってしまった状態を、低血糖といいます。もともと血糖値は、食事や運動などで多少変動することはありますが、70mg/dl~120mg/dlの間が正常です。低血糖は、血糖値が60~70mg/dl以下(または50mg/dl以下)の場合を指します。普段から血糖値が高い方であれば、これより高い値でも低血糖症状が現れることがあります。

低血糖が起こる原因

低血糖が起こる原因には、糖尿病患者のインスリンの過剰投与や内服薬の使用量過多、糖尿病でない方であれば、抗不整脈薬の投与や、ブドウ糖摂取不足、アルコール摂取などの外因性の原因があげられます。また、胃切除後のダイピング症候群、胃下垂、インスリン感受性の高い方なども、内因性の原因から低血糖になりやすいといえます。
糖尿病患者が低血糖を起こす原因には、薬などによって血糖値を下げ過ぎてしまうことにあります。例えば、たまたま食事量が少ないときや運動量が多いときなどは、いつもより血糖値が下がっていることがあります。しかしそれに気づかずに、インスリン注射や内服薬を普段通りの量投与してしまうことで血糖値が下がり過ぎてしまうのです。血糖を下げる薬を投与している方は、低血糖を起こすリスクが高いのです。内因性の原因である場合は、すい臓の反応が鈍く、インスリン分泌が遅れてしまうことが原因で低血糖を起こします。本来、血糖値を下げるインスリンの分泌は、血糖値の上昇に比例していなければなりません。しかし、インスリンの分泌を指示するすい臓の反応が鈍いとインスリンの分泌が遅れてしまい、血糖値とインスリンの量に差ができてしまいます。そうすると、体は「もっとインスリンを分泌しなければならない(足りていない)」と判断してしまうため、必要量以上のインスリンが分泌されてしまうのです。その結果、血糖値が下がり過ぎてしまい低血糖を起こします。これを、「反応性低血糖」といいます。

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反応性低血糖の原因

反応性低血糖は、胃切除後のダイピング症候群、胃下垂、インスリン感受性の高い方に起こりやすい低血糖のひとつです。主な原因は、長時間の過剰な糖質摂取によって血糖コントロールが正常にできなくなることで起こります。不健康な食事が原因で血糖値が急激に上昇し、すい臓が過敏に反応して大量のインスリンを分泌してしまうのです。そのまま血糖値が急激に上がるような高カロリー、高脂肪食を続けているとすい臓が疲弊し、インスリンが出にくくなってしまいます。その結果血糖値が下がらなくなり、糖尿病を発症してしまいます。反応性低血糖は糖尿病の前兆でもあるので、注意が必要です。
反応性低血糖によって血糖値が異常に下がってしまうと、脳にあるブドウ糖が消費されてしまいます。脳のブドウ糖が消費されると、精神面に低血糖症状が現れます。その症状には、イライラ感や不安感、幻覚や幻聴などがあります。お菓子やジュースなどの甘味のあるものを摂ると、一時的に症状が緩和されることがありますが、これでは血糖値の乱高下を招いてしまい、数時間後にまた低血糖を起こすという繰り返しになります。糖尿病の前兆でもある反応性低血糖は、血糖コントロールが正常にできなくなっている状態なので、ブドウ糖を摂って症状を抑えることは根本的な解決にはなりません。反応性低血糖の症状は食事の摂り方で予防することができます。「ラーメンとチャーハン」などの炭水化物の重ね合いをやめたり、野菜や豆類などの食物繊維から食べ始めるなどと食べる順番を工夫し、ゆっくり食べることを心掛けることで消化吸収が穏やかになります。消化吸収が穏やかになると、血糖値が急激に上がることはありません。間食をする場合は、ミネラルが豊富なナッツ類がおすすめです。ただし、すでに低血糖を起こしている場合は、血糖値を上げることが最優先になるので、ブドウ糖が含まれているものを摂りましょう。

 

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その他、低血糖で現れる症状

低血糖は、急激に下がる場合と緩やかに下がる場合があります。急激に下がる場合は、自律神経症状が現れるのが特徴です。主な症状は、空腹感・不安感・発汗・動悸・手足の震え・唇の乾燥などです。これらの症状が、総合失調症やパニック障害の症状と似ているため、病院で誤った診断をされることもあります。
血糖値が緩やかに下がる場合は、中枢神経症状が現れます。主な症状は、眠気・集中力の低下・頭痛・痙攣・意識混濁・昏睡状態などがあげられます。これらは脳が正常に活動できなくなりつつあることを示しています。意識混濁や昏睡状態まで陥ると、死に至る可能性があります。
低血糖は一定の数値以下になると症状が現れ、血糖状態によって大まかな症状が異なるので、自身の体調を注意しておくとよいでしょう。

・70mg/dl以下
70mg/dl以下になると、副交感神経が優位になります。症状としては、異常な空腹感・脱力感・生あくび・動悸・冷や汗・手や指の震えなどがみられます。

・50mg/dl以下
50mg/dl以下になると、中枢神経の働きが低下し、交感神経が優位になります。症状としては、不安感・動悸・冷や汗・手足の震えなどがみられます。

・35mg/dl以下
35mg/dl以下までいくと、意識レベルが低下していきます。ろれつが回らなくなったり、めまいや疲労感に襲われます。

・20mg/dl以下
20mg/dl以下になると、痙攣や意識を失うことがあり、昏睡状態になってしまうと死に至ることもあります。
誰もがこの順序で症状が現れるわけではありませんが、重症化すると意識を失うほどの大事になるのは確かです。しかし、誰もが低血糖症状に気づけるわけではなく、知らず知らずのうちに低血糖を起こして、気づかないうちに治っているということも少なくありません。空腹時などの低血糖は80%が自然に正常な血糖値に戻っているので、気づかない場合がほとんどです。低血糖の症状に素早く気づくためには、低血糖の知識を得ておく必要があります。低血糖症状は何度か経験すると、症状や前兆、どのようなときに起こりやすいかが分かるようになります。低血糖症状を経験したらどんな症状が現れたか記憶しておき、いつか起こったときのために備えておくと安心です。また、低血糖の症状は年齢やその日の体調によっても異なり、加齢とともに症状が強くなり、意識を失いやすくなります。アメリカ糖尿病協会では、高齢者の低血糖の危険性から、高齢者の空腹時の血糖基準値を100mg/dl~120mg/dl、食後の血糖基準値を180 mg/dl以下に調節するべきだと発表しています。それほど高齢者の低血糖状態は危険であり、注意が必要です

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低血糖になりやすい人や環境

低血糖になりやす人の特徴や、なりやすい環境があります。

【低血糖になりやすい人】
・食事量や食事回数が少ない人
食事で摂った糖は、体内に吸収された後エネルギーとなります。食事の量が少なかったり間隔が長いと、エネルギー不足になり、低血糖を起こす心配があります。食事時間がいつもより遅い場合や食事量がいつもより少ない方は低血糖を起こしやすいことを覚えておきましょう。

・肥満体質の人
低血糖とは、血糖値を下げる働きをしているインスリンが過剰分泌してしまうことで起きます。インスリンが過剰分泌してしまう原因のひとつには過食があるので、低血糖を起こしやすい方は、肥満の方や肥満体質にみえなくても体脂肪率が多い、隠れ肥満の方です。

【低血糖になりやすい状況】
・空腹時
空腹時は体内のブドウ糖が少なくなっている状態なので、低血糖を起こしやすいといえます。「空腹感を感じる」ことは、低血糖症状のひとつにも含まれています。

・空腹時に運動したとき
空腹感はブドウ糖が少なくなっている状態です。その上運動をするとインスリン感受性がよくなり、ブドウ糖はどんどん消費されます。そのため、運動中や運動後は低血糖が起こりやすくなります。

・アルコールを摂取したとき
アルコールは、肝臓からのブドウ糖放出を抑制し、血糖値を下げる働きがあります。また、低血糖を起こしていても、酔いのために気づくのが遅れる心配もあります。

低血糖になりやすい人や、なりやすい状況をしっかり把握しておくことが、低血糖の対策につながります。

 

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「無自覚性低血糖」に注意しよう

糖尿病が引き起こす合併症の中には、神経障害があります。この神経障害が起こると、血糖値が50mg/dlまで低下していても、低血糖症状に気が付かなくなります。これを無自覚低血糖症といいます。本来、低血糖になると体が危険を察知し、さまざまな症状が現れます。症状が現れることによって、体の異変に気づき、ブドウ糖を摂ったり病院に行ったりして対処することができます。しかし、無自覚低血糖症が起こると、体のSOSに気が付かないので対処が難しくなり、低血糖はどんどん悪化してしまいます。自覚がないままに低血糖が進むということは、突然意識を失ったり昏睡状態に陥る可能性があるということです。このケースが車の運転中や危険な場所で起こると、生死に関わることもあり、大変危険です。
無自覚低血糖症は、神経障害以外に頻繁に低血糖を起こしていて体が慣れてしまっている方にもみられます。対策としては、自己血糖測定を頻繁に行い、数値が一定よりも低ければ自らブドウ糖を摂るように心掛けるとよいでしょう。また、意識を失うなどの危険な状況を考え、バックなどに低血糖症であることを表示したものをぶら下げておくと、もしものときに素早い対処が可能です。低血糖が原因で亡くなるケースも少なくないので、もしものときに備えることは大切です。

もしも低血糖の症状がみられたら?

もしも上記のような症状がみられ、「低血糖かな?」と感じた場合は素早い対処が必要です。意識がある場合は、ブドウ糖が5g~10g含まれるものを摂取しましょう。また、砂糖10g程度や、ブドウ糖を含むジュースを150ml~200ml程度摂ります。ブドウ糖や砂糖以外の糖分は即効性が低く、比較的効果が現れるのが遅くなります。血糖値が60mg/dl以下の場合や、糖を摂って15分以上経過しても症状がよくならない場合は、再度同じ量の糖分を摂ります。それでも回復しない場合は、医療機関を受診しましょう。
意識がハッキリしていない状態であれば、家族や周りの方の協力してもらって口に含ませてもらいます。飲み込むことが難しければ、ブドウ糖や砂糖を唇や歯肉に塗りつけてもらいましょう。その後すぐに医療機関を救急受診します。糖尿病患者で「α‐グルコシダーゼ阻害薬」を服用している方やインスリン注射を投与している方は、普段から必ずブドウ糖を形態しておきましょう。
食前など一時的に血糖が下がっている状態であれば、糖分を摂ることで改善されます。しかし、慢性的な低血糖である場合や血糖値があまりにも低い場合は、治療が必要になります。

低血糖を予防するために必要なこと

低血糖を引き起こさないためには、自己管理が最も大切です。特に、糖尿病治療でインスリン注射をしている方や、血糖値を下げる薬を飲んでいる方は、低血糖を引き起こすかもしれないという自覚を持つ必要があります。なぜなら、血糖値はその日の食事量や運動量によって日々変動します。食事量がいつもより少ない場合でも、いつもと同じ量の薬を服用しまっては血糖が下がり過ぎてしまい、低血糖を引き起こすことも考えられるのです。インスリン注射や内服薬などで血糖値を下げることを習慣にしている方は、その日の食事量や運動量を考え、低血糖を起こさないように気をつけなければなりません。また、日頃から定期的に血糖値を測り、自身の血糖値を把握しておくことが低血糖予防になります。例えば、激しい運動をした後に血糖値を図ると普段より血糖値が低くなっていることに気づくかもしれません。どれくらいの運動量でどれくらい血糖値が下がるのかを知っていれば、運動量が多い日は糖分を多く摂るようにするなどの対策が可能です。自身で血糖を測ることができる器具も販売されているので、活用してみるとよいでしょう。また、低血糖を起こす可能性のある方は、周囲の人や家族に低血糖について理解してもらい対処法を伝えておくと、緊急時にも焦らず落ちついた対応ができます。

低血糖を起こしたときのための備えは?

突然低血糖を起こしたときは、飴やジュースでブドウ糖を摂る方法が望ましいですが、普段から低血糖を起こしやすい方や糖尿病患者が、低血糖の備えとして飴やジュースを形態することは、最善策だといえません。飴は溶けて体内に吸収されるまで時間がかかってしまうため、緊急時には不向きだからです。ジュースは、すべての商品の中にブドウ糖が入っているとは限りません。最近は、できるだけ糖分を少なくした製品が多いので、低血糖の改善にはならないものも多くあります。
やはり低血糖を起こしたときの備えに向いているのは、「ブドウ糖」です。ブドウ糖とは結晶状の白い物質で、いちじくやぶどうなどの果物や、蜂蜜などに多く含まれています。食物では炭水化物などに分解されているので、食事を通して自然にブドウ糖を摂取することができます。ブドウ糖は、脳を使ったときや運動するときなど、さまざまな場面で消費されます。特に脳は、ブドウ糖を多く消費している場所で、一日120gのブドウ糖を必要としています。そのため、ブドウ糖不足で低血糖状態になると、思考力や判断力が低下します。常備できるブドウ糖の中には、チップ状やタブレット状になった食べやすい形状のものがあります。これらは即効性があるため、低血糖を起こしたときの備えとして持ち歩くと安心です。低血糖用として販売されているものもあります。

まとめ

低血糖とは血糖値が60mg~70mg以下の状態を指し、数値がそれ以下になると低血糖症状が起こります。症状は極度の空腹感、冷や汗、震え、眠気など人によってさまざまです。低血糖を放っておいたり、無自覚低血糖症によって気づかないまま低血糖が進むと、意識障害や昏睡状態を引き起こす可能性があり、大変危険です。特に糖尿病患者では、血糖値を下げる薬によって血糖が下がり過ぎてしまうことが考えられます。低血糖用のブドウ糖を携帯しておいたり、自己血糖測定で血糖値を把握しておきましょう。血糖値は、食事の量や運動量によっても変動するので、血糖値を下げたいからといって極端に炭水化物を減らしてしまうと、低血糖を引き起こす原因になりかねません。バランスのよい食事と自身の血糖値を把握しておくことを心掛け、低血糖を予防しましょう。低血糖を起こしてしまったときは、ブドウ糖やブドウ糖が含まれるもの(飴やジュース)を摂り、血糖を上げることを最優先に考えましょう。

高血糖には注意していても、低血糖のことはあまり意識していない方が少なくないのではないでしょうか。低血糖は、重症化すれば死に至る可能性のある恐ろしい病気です。糖尿病の方であれば特に、低血糖を起こすリスクといつも隣り合わせであることを意識しなければなりません。

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